【投資初心者にとっての禁じ手とは?】空売りについて解説
『株式投資にも少しは慣れてきたし、次は空売りにも挑戦してみたい。やり方を調べてみるか』
本記事ではこのような人向けに『空売り』について解説していきます。
この記事を読むことで得られるメリットは次のとおり。
- 空売りの仕組みを理解できる
- 空売り銘柄の探し方が分かる
- 初心者が知らない注意点について理解できる
割と初心者向けの内容になっていますので『ある程度空売りの知識はあるよ』という人の参考にはならないかもです。では本題に入っていきましょう。
投資初心者にとって空売りは禁じ手
出鼻を挫くようで申し訳ないのですが初心者は空売りをしない方がいいです。理由は下記。
- 信用取引はリスクが高い
- 『買い』で利益をあげられないなら『売り』でも利益はあげられない
空売りとは?
空売りとは、一言で説明すると『通常の株取引の逆バージョン』です。
それぞれの利益の出し方
- 通常の売買:先に株を買って、価格が上昇したら売る
- 空売り:先に株を売って、価格が下落したら『買い戻す』
普通はまず株を買ってから、利益が出たら売りますよね。
空売りはその逆です。
株価が上昇したら利益になる通常売買に対し、株価が下落することで利益になるのが空売りです。
『通常の…逆? 先に…売る!?』
空売りの仕組み
空売りの仕組みは、おおまかな流れを説明すると下記のような流れになります。
- 空売りしたい銘柄を見つける
- 証券会社からその銘柄の株を借りる
- その銘柄を売却する
- 利益が出たら買い戻す
- 買い戻した株を返却する
空売りは先に『売り』から入るので、手元に売る株を保有している必要があります。
なので証券会社から『株を借りる』必要があるんですね。
例:株価500円の株を100株借りる
500円で100株空売りすると、手元に売却代金の50,000円が存在することになります。
株価が300円まで下落したところで『買い戻す』と手元の50,000円から30,000円で株を買い戻したので、手元に20,000円が残ることになりますよね。
これが空売りによる利益となります。
『買い』と『売り』の順序が逆とはいえ、事実だけ見ると分かりやすいです。
- 300円で買ったという事実
- 500円で売ったという事実
これで差額の200円分が利益になるということですね。
買い戻した株は、売買終了後に返却するようになります。
とはいえこちら側ですることはなく、取引終了後に自動的に返却される仕組みなのでご安心を。
空売りでは逆日歩に注意
空売りの仕組みは理解できたと思います。
次は注意しなければならない『逆日歩』について解説しておきましょう。
逆日歩とは?
逆日歩とは簡単に言うと『レンタル手数料』です。
株を貸す側の証券会社も無限に在庫を抱えている訳ではありません。
当然レンタルできる株数にも限りがあるので、借りたい人が多いとその分レンタル料が高くなります。
これは楽天証券のアプリ内でトヨタ自動車の『市況情報』というものを見た画面です。
矢印部分に『逆日歩』と表示があり0.15という数字が出ていますよね。
これは1株あたり0.15円のレンタル料がかかりますよという意味です。
0.15円の逆日歩ならまだしも、知らない内に10円とか100円とかになっていたら大変です。空売りをするなら必ず逆日歩が発生しているかどうかの確認をしましょう。
『逆日歩100円!? そんなぼったくりみたいなことあるの!?』
こういう疑問も出てきて当然ですが、結論をお伝えすると逆日歩100円もあり得ます。
クロス取引にはご用心
どういう場合に高額な逆日歩が発生するかというと『クロス取引』と呼ばれるものが代表的かなと思います。
クロス取引とは優待目当てで『買い』と『売り』を同時に行うことです。
優待だけが目当ての人というのは、優待を手に入れたらすぐに株を売却するという人も多いです。
(※権利確定日とは優待や配当金がもらえる権利が確定する日のこと。優待や配当金が欲しいなら確定日の3営業日前には株を購入しておく必要があります。仮に31日が確定日なら28日には購入しておかないといけません)
大幅な値下がりを見越して『買い』と同時に『売り』も仕掛けておくとどうなるでしょうか?
- 権利確定日までに500円で株を購入と同時に売り注文もしておく
- 確定日翌日100円の値下がり
- ⇨買いによる10,000円の損失と同時に、売りによる10,000円の利益も得られる
つまり下落のリスクを抑えて優待や配当金を得られるということです(売買手数料は別途かかります)。
クロス取引をする多くの人が空売りをするので、高額な逆日歩が発生するという仕組みです。
逆日歩にはくれぐれも注意しましょう。
ちなみに、権利確定日をまたいで空売りを持ち越すと、配当金がある場合にはその分を支払う必要があるので、その銘柄の配当落日などは把握しておくようにしたいですね。
空売りは下降トレンドで有効
どういう時に空売りが有効なのかというと、ズバリ『下降トレンドの時』ですね。
売買の方法が『買い』だけだと、下落トレンドのときは株価が下がる一方なので利益をあげることはできません。
株価は上昇するときよりも下落するときのスピードの方が早いです。
なので空売りを有効に使えば、大きな利益を得られます。
- 上昇トレンドのときに買いで利益を得る
- 下降トレンドのときは売りで利益を得る
この両方ができれば、利益を得られる機会が増えるので投資家としてはかなりレベルアップできますね。
『これは空売りをマスターするしかないっしょ!!』
空売りについて理解したあなたならこんな風にやる気を出しているかもしれませんが、やはり初心者の内は空売りはやめておいた方がいいと思います。
理由は記事の冒頭にお伝えしたとおりですね。
- 信用取引はリスクが高い
- 『買い』で利益をあげられないなら『売り』でも利益はあげられない
空売りは信用取引なので、手元資金の最大3倍までの資金を運用できます。
あなたがリスク管理をしっかりできているというなら信用取引もオススメできますが、この記事が参考になっている時点でまだ信用取引に手を出すのは早いです。
悪いことは言わないので、まずは『買い』で利益を出せるようになってから『空売り』に挑戦するようにしましょう。
空売り銘柄の探し方
初心者の内は空売りしない方がいいと言いつつ、シミュレーションは大切なので『もし空売りするならどういう銘柄を選べばいいのか』という点についても解説しておきます。内容は下記のとおり。
- 制度信用と一般信用を理解しよう
- デッドクロスとゴールデンクロス
- 信用倍率1.5倍以上の銘柄
ひとつずつ深掘りしていきます。
制度信用と一般信用を理解しよう
制度信用と一般信用の違いは次のとおり。
- 制度信用:証券取引所が指定した銘柄に限られる。返済期限は6ヶ月。
- 一般信用:証券会社から株を借りるので金利高め。返済期限なし。
おおまかな違いは上記のような感じです。
証券会社によっては1日信用取引などの制度があったりするので、そこは証券会社毎に確認が必要ですね。
上記の画像も楽天証券のアプリのものです。
信用貸借区分が『貸借』となっていますね。
貸借銘柄であれば空売りすることが可能です。
気になった銘柄はどういう取引が可能なのか調べてから、実際に取引するようにしましょう。
デッドクロスとゴールデンクロス
デッドクロスとゴールデンクロスは売買の目安になるサインです。
- デッドクロス:売りのサイン
- ゴールデンクロス:買いのサイン
チャートでゴールデンクロスが現れたら買いです。
逆にデッドクロスが現れたら売りということですね。
上記はソニーの月足ですが、矢印の部分に注目。
青色の長期線を緑色の中期線が下から上にクロスしています。
これがゴールデンクロスです。
短期線が長期線を下から上に抜くとゴールデンクロス。
上から下にクロスするとデッドクロスです。
デッドクロスやゴールデンクロスといったサインは確実なものではありませんが、売買の目安にはなるので参考にして取引をすると良いでしょう。
信用倍率1.5倍以上の銘柄
信用倍率とは信用取引における買いと売りの割合を表したものです。
空売りをするなら信用倍率が1.5倍以上の銘柄を選ぶようにしましょう。理由は下記。
- 信用倍率 = 信用買い残 ÷ 信用売り残
- 倍率が高いということは買い残が多いということ
- つまり将来の売り圧力になる
信用買が多ければ、将来は必ず売られます。
そのタイミングが絶好の空売りタイミングですね。
上記はソニーの信用倍率が表示された部分です。
まとめ
本記事では空売りについて詳しく解説してきました。
空売りをマスターすれば、相場が下落している局面でも利益を出すことができます。
ただし、空売りは初心者の内は手を出さない方が懸命です。この記事を読んでくれたあなたなら理解できていますね。
- 信用取引はリスクが高い
- 『買い』で利益をあげられないなら『売り』でも利益はあげられない
繰り返しになりますが、空売りをするならリスク管理が出来るようになってからにしましょう。
買いで利益を出せないなら、売りでも同様です。
焦らずに少しずつ成長していきましょう。
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